目次
- はじめに:Classic Pro CEQ231FLはPA現場で「使える」グライコなのか?
- Classic Pro CEQ231FLとは?「PA用グライコ」としての役割と基本スペック
- 【10年使ってみて】Classic Pro CEQ231FLは現場で「使える」のか?
- Classic Pro CEQ231FLの具体的な使い方と実践設定例
- Classic Pro CEQ231FLのメリット・デメリットまとめ
- Classic Pro CEQ231FLはどんなPA担当者におすすめ?
- Classic Pro CEQ231FLに関するQ&A
- まとめ:Classic Pro CEQ231FLでPAの課題を解決し、自信をつけよう
- CEQ231FLの後継機種は?おすすめのグライコとハウリング対策機材
はじめに:Classic Pro CEQ231FLはPA現場で「使える」グライコなのか?
ライブやイベントのPAで、突然スピーカーから「キーン!」という耳障りなハウリングが発生したり、会場の響きが悪くて音がにごって聞こえたり…。そんな音響トラブルに直面した時、「グライコ(グラフィックイコライザー)があれば解決できるのかな?」と考えるPA初心者の方は多いのではないでしょうか。
でも、数あるグライコの中から、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。特に、Classic Pro CEQ231FLのような安価なモデルを見ると、「これって本当に現場で使えるの?」「安すぎて逆に不安…」と感じるかもしれません。
ご安心ください。この記事では、10年以上にわたりPAを操作した経験を持つ私が、実際に長年愛用してきたClassic Pro CEQ231FLを徹底レビューします。
【重要なお知らせ】 誠に残念ながら、本記事でレビューするClassic Pro CEQ231FLは、現在サウンドハウスでの販売が終了しております。しかし、本機で培われたPA現場でのノウハウやハウリング対策の考え方は、どのグライコでも共通する普遍的なものです。ぜひ最後までお読みいただき、あなたのグライコ選びの参考にしてください。
PA全体の基礎から体系的に学びたい方は、まずはこちらの今日から始めるPA!初心者でも失敗しない音響ミキサー&機材の基本操作術をご覧ください。
この記事でわかること
この記事を読み終える頃には、あなたは以下の疑問を解決し、グライコ選びやPAでの音作りに自信を持てるようになるでしょう。
- Classic Pro CEQ231FLがどんなグライザーで、PA現場でどう役立つか
- ライブ現場で「使える」グライコなのか、音質や耐久性はどうか
- PA初心者でもできる!CEQ231FLを使ったハウリング対策と実践的なEQ調整のコツ
- CEQ231FLのメリット・デメリット、そしてどんなPA担当者におすすめか
- 販売終了したCEQ231FLの代替として、今買うべきおすすめグライコやハウリング対策機材
さあ、あなたのPA現場の課題を解決し、より良い音作りを目指しましょう!
Classic Pro CEQ231FLとは?「PA用グライコ」としての役割と基本スペック
「グラフィックイコライザー(グライコ)」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどんな機材なのか、PA現場でどう使うのか、まだピンと来ない方もいるかもしれません。Classic Pro CEQ231FLについて深く掘り下げる前に、まずはグライコの基本的な役割と、本機の概要を見ていきましょう。
グラフィックイコライザー(グライコ)の基本をおさらい
グライコとは、音の周波数帯域を細かく分割し、それぞれの帯域の音量(レベル)を調整できる機材です。一般的に、横一列に並んだスライド式のフェーダーを上下させることで、視覚的かつ直感的に音質を調整できます。
なぜPA現場でグライコが必要なのか?
PA(Public Address)現場において、グライコは主に以下の2つの重要な役割を担います。
- ハウリング対策: ライブやイベントで発生する耳障りなハウリングは、特定の周波数帯域が過剰に増幅されることで起こります。グライコを使えば、そのハウリングしている周波数だけをピンポイントでカットし、全体の音質を保ちながらハウリングを抑制できます。
- 音質補正・音場補正: 会場ごとの音の響き(残響や反響)は様々です。グライコは、会場の音響特性に合わせて音のバランスを調整し、よりクリアで聴きやすいサウンドを作り出すためにも使われます。例えば、特定の周波数帯がこもりやすい会場では、その帯域を少しカットするといった調整が可能です。
ミキサーにも「EQ」機能が内蔵されていますが、グライコはミキサーのEQよりもさらに細かく周波数帯を分割して調整できるため、より精密な音作りやハウリング対策に効果を発揮します。
ハウリング対策についてもっと知りたい方は『PA初心者の天敵ハウリングを徹底対策!ハウリングの原因からEQ・サプレッサー活用術まで完全解説』で解説していますので、ぜひ、参考にしてください。
Classic Pro CEQ231FLの概要と主な特徴
Classic Pro CEQ231FLは、サウンドハウスが展開する「Classic Pro」ブランドのグラフィックイコライザーです。その最大の特徴は、PA現場で必須ともいえる機能を備えながらも、非常に手頃な価格で入手できる点にあります。
- 2チャンネル31バンドEQ: ステレオ(左右2系統)で音を調整でき、それぞれ31バンド(31個のフェーダー)で音の周波数帯域を細かく調整可能です。これにより、幅広い音域での繊細なコントロールが可能になります。
- LED(FBQ System)搭載: このCEQ231FLが初心者にとって特に心強いのが、ハウリングしている周波数をLEDで視覚的に教えてくれる「FBQ System」という機能です。ハウリングが発生すると、対応する周波数のフェーダーに内蔵されたLEDが光るため、どの帯域を調整すべきか一目瞭然。私の現場経験でも、この機能には何度も助けられました。
- 入出力端子: XLRとTRSフォンの両方に対応しており、多くのPA機器との接続性に優れています。
- ラックマウント対応: 3Uサイズで、PAラックにすっきりと収納できます。現場での持ち運びや設置にも便利です。
安価なモデルでありながら、ハウリング対策に非常に役立つ機能を搭載しているClassic Pro CEQ231FLは、PA初心者にとって強力な味方となる一台です。
【10年使ってみて】Classic Pro CEQ231FLは現場で「使える」のか?
Classic Pro CEQ231FLが安価で初心者にも心強い機能を持っていることは分かりました。しかし、実際にライブ現場のようなシビアな環境で、このグライコは本当に「使える」のか?ここからは、私が長CEQ231FLを使い倒してきた経験から、その実力を正直に評価していきます。
ライブ現場での「音質」評価:正直なところどうだった?
PAにおけるグライコは、音質補正の道具です。CEQ231FLは、価格を考えると驚くほどクセが少なく、比較的フラットな音質を持っていると感じました。
安価な機材にありがちな、特定の帯域が強調されたり、音が痩せたりするような不自然さは、私の使用経験の中ではほとんど感じませんでした。
僕の評価
アコースティックライブ、バンド演奏、トークイベントなど、一般的なライブハウスやイベントのPAにおいては、CEQ231FLの音質で十分に実用レベルです。
特にハウリング対策としてピンポイントで周波数をカットする用途であれば、その音質的な差はほとんど気にならないレベルだと言い切れます。むしろ、その価格でこの音質が得られるのは驚きだと感じています。
ハウリング対策の「即戦力」としての評価
CEQ231FLの最大の魅力であり、私がこのグライコを気に入っている理由の一つが、ハウリング対策の即戦力としての機能です。特に搭載されている「FBQ System(LEDによるハウリング周波数表示機能)」は、初心者にとってだけでなく、経験者にとっても非常に強力な武器となります。
実体験:CEQ231FLに助けられている
PAの現場では、リハーサル中に「あれ?このマイク、特定の周波数でハウリングしやすいな…」と感じたり、本番中に予期せぬハウリングが発生したりすることが多々あります。
そんな時、CEQ231FLのフェーダーに内蔵されたLEDが「ここがハウっているぞ!」と教えてくれるのは、本当に心強いんです。
例えば、私のいっている教会で、突然ボーカルマイクから「キーン!」という高域のハウリングが発生しました。練習やリハーサル時にはなかったハウリングでしたが、CEQ231FLのLEDがすかさず8kHzのフェーダーを強く点滅させました。私は迷わずそのフェーダーを数dBカットするだけで、一瞬でハウリングを収めることができました。もしこのLEDがなければ、耳だけで原因周波数を特定し、焦りながら探すのに時間がかかり、もっと長い時間、あの不快な音が会場に響き渡っていたかもしれません。
この経験は一度や二度ではありません。このCEQ231FLは、まさに「ハウリングの警報器」として、多くの現場で私のPAを支えてくれました。手動でEQ調整をする際も、LEDが目印になるため、迷わず、そして迅速に問題解決に当たれる点は、PAを操作する人のストレスを大きく軽減してくれます。
耐久性と安定性:長期間の過酷な現場で感じたこと
価格が安いため、「壊れやすいのでは?」と心配する方もいるかもしれません。私自身、CEQ231FLを約10年間にわたり、PAシステムに組み込んで使ってきました。その結果、驚くべきことに、一度も故障することなく、安定して稼働し続けてくれました。
もちろん、個体差や使用環境にもよるでしょうが、私の経験からは、その価格からは想像できないほどの耐久性を持っていると言えます。
ファンノイズについて
一部のレビューでファンノイズが指摘されることがありますが、私の使用環境(一般的なライブハウスのFOHまたはステージ上)では、PAシステムの全体音量や会場の環境音の中で、CEQ231FLのファンノイズが目立って気になることはありませんでした。もちろん、無音のスタジオで耳を澄ませば聞こえるかもしれませんが、PA現場での実用上は問題ないレベルだと感じています。
Classic Pro CEQ231FLの具体的な使い方と実践設定例
Classic Pro CEQ231FLの魅力が伝わったところで、いよいよ「じゃあ、実際にどうやって使うの?」という実践的なステップに入っていきましょう。PA初心者の方でも安心して使えるように、接続方法からハウリング対策の具体的なコツまで、現場での設定例を交えて解説します。
基本的な接続方法(ミキサーとの連携)
グライコをPAシステムに組み込む方法はいくつかありますが、Classic Pro CEQ231FLをハウリング対策やメインの音質補正に使う場合、主に以下の2つの接続方法が考えられます。
メインアウトに接続する方法(全体音の補正・ハウリング対策)
ミキサーの「MAIN OUT(メイン出力)」からCEQ231FLの「INPUT」へ接続し、CEQ231FLの「OUTPUT」から「パワーアンプ」や「パワードスピーカー」の「INPUT」へ接続します。
これが最も一般的な使い方で、会場全体の音質調整や、全体のハウリング対策にグライコを使用する場合に採用します。
これが最も一般的な使い方で、会場全体の音質調整や、全体のハウリング対策にグライコを使用する場合に採用します。
ポイント: CEQ231FLは2チャンネルなので、ステレオ(L/R)で接続できます。
インサートに接続(特定のチャンネルやグループ音の補正・ハウリング対策)
ミキサーの特定チャンネルやグループバスの「INSERT(インサート)」端子に、TRSケーブル1本でCEQ231FLを接続します。
特定のマイク(例:ハウリングしやすいボーカルマイク)や、ドラム全体、ボーカルグループなど、特定の音源の音質補正やハウリング対策に集中して使用したい場合に便利です。
ポイント: インサート接続はY字ケーブルを使う場合もあるなど少し複雑なので、初心者のうちはまずメインアウト接続から始めるのがおすすめです。
ハウリング対策でのEQ調整:初心者向け実践ガイド
いよいよCEQ231FLを使ったハウリング対策の核心です。CEQ231FLのLEDと、私の「引き算」の音作り哲学を組み合わせて、実践的な調整方法をマスターしましょう。
- ハウリング周波数の特定:
- ハウリングが発生したら、まずCEQ231FLのフェーダーに内蔵されたLEDが点滅している箇所を確認します。これが、ハウリングを引き起こしている「犯人」の周波数帯です。
- もし複数のLEDが点滅している場合は、最も明るく、持続的に点滅しているものが主要な原因であることが多いです。
- 「引き算」の思考でカットする:
- LEDが点滅している周波数帯のフェーダーを、ゆっくりと、少しずつ下げて(カットして)いきます。
- 「ハウリング対策は引き算が基本」です。音を大きくするのではなく、不要な部分を削ることで、全体の音量を保ちながらハウリングを抑制できます。
- 具体的なカット量の目安: 私の経験上、まずは-3dBから-6dB程度を目安にカットしてみてください。これでハウリングが止まるか、改善されるかを確認します。それでも止まらなければ、もう少し深くカットしたり、隣接する周波数帯も試したりします。
- 音質の変化を確認する:
- ハウリングが止まったら、カットしたことで音質に不自然な変化がないか、注意深く確認しましょう。ボーカルや楽器の重要な帯域を削りすぎると、音が引っ込んだり、薄くなったりすることがあります。
- もし音質に問題があると感じたら、少しだけフェーダーを戻して、ハウリングが再発しないギリギリのラインを探るのがプロの技です。
このプロセスを繰り返すことで、CEQ231FLのLED機能を最大限に活かし、迅速かつ効果的にハウリングを抑制できるようになります。
より詳しくハウリング対策の基礎を学びたい方は、ハウリング対策完全ガイドも合わせてご覧ください。
音質調整・音場補正での活用例
CEQ231FLはハウリング対策だけでなく、会場の音響特性に合わせた音質調整や、特定の楽器の音作りにも活用できます。
- 会場の残響補正:
- 例えば、残響の多い空間では中高域がにごりやすいことがあります。特定の帯域を少しカットすることで、音のクリアさを改善できます。
- 逆に、デッドな(響きが少ない)空間であれば、特定の帯域をわずかにブーストして、音に広がりを与えることも可能です。
- 楽器ごとの音質調整:
- ギターの音がこもりがちなら低中域を少しカットしたり、ボーカルに抜けが欲しい場合は中高域をわずかにブーストしたりと、目的の音源がより際立つように調整します。ただし、メインはミキサーのEQで、グライコは最終的な微調整や全体補正に使うのが一般的です。
PA初心者のうちは、まずハウリング対策からグライコを使いこなすことを目標にしましょう。慣れてきたら、ぜひ音質調整にも挑戦してみてください。
Classic Pro CEQ231FLのメリット・デメリットまとめ
ここまで、Classic Pro CEQ231FLのPA現場での実力について、私の経験を交えながら詳しく解説してきました。ここでは、このグライコが持つ「強み」と「弱み」を簡潔にまとめ、あなたがこの機材を選ぶ際の判断材料として活用できるよう整理します。
Classic Pro CEQ231FLのメリット
私が10年ほどCEQ231FLを使用して感じたメリットを5つ紹介します。
圧倒的なコストパフォーマンス
PA用グライコとしては非常に安価でありながら、ライブ現場で十分に通用する実用性を備えています。予算が限られているPA初心者や、小規模なPAシステムを構築したい方にとって、これ以上ない選択肢となるでしょう。
LED(FBQ System)によるハウリング周波数特定機能
これが本機の最大の特長であり、初心者にとって最も心強い機能です。ハウリングが発生した際に、どの周波数を調整すべきか視覚的に教えてくれるため、迅速かつ的確な対策が可能になります。私のPA経験でも、この機能には何度も助けられました。
直感的な操作性
各周波数帯に対応するフェーダーを上下させるだけのシンプルな操作で、専門知識が少なくても直感的に音を調整できます。複雑なメニュー操作などは不要なため、PA初心者でもすぐに使いこなせるでしょう。
2チャンネルステレオ対応
左右独立した2系統のEQを備えているため、ステレオのメインアウトや、2系統のモニター回線など、幅広いPAシステムに対応できます。
堅牢なラックマウント筐体
3Uサイズの金属製のしっかりとした筐体で、PAラックに収納すれば現場での運搬や使用にも耐えうる耐久性を持っています。`
Classic Pro CEQ231FLのデメリット
少し残念だね・・・。と思うポイントも紹介します。
CEQ231FLは約5kgと重たい
CEQ231FLは約5kgと少し重たいです。
競合製品となるdbxやbheringerのグライコと比べても2倍近くあります。
ラックに組み込む時に2人以上でやらないと一苦労します。
ファンノイズ(使用環境による)
一部のレビューではファンノイズが指摘されることがあります。私の現場経験では、PAシステムの全体音量や会場の環境音の中ではほとんど気になりませんでしたが、非常に静かな環境や、レコーディング用途などでは気になる可能性もゼロではありません。
物理的なイコライザーの限界
デジタルミキサーに内蔵されたEQや、デジタルプロセッサーのEQのように、非常に狭い帯域をピンポイントでカットする「Q」の調整機能は備わっていません。そのため、極めて精密な音作りや、複数のハウリング周波数が非常に近い場合に、狙った周波数だけを完璧に分離して処理することは難しい場合があります。
Classic Pro CEQ231FLはどんなPA担当者におすすめ?
私の長年のPA経験を踏まえると、Classic Pro CEQ231FLは特に以下のようなPA担当者の方々に強くおすすめできるグライコです。
PA初心者で、まず手頃な価格でグライコを導入したい人
PAの世界は奥深く、機材も高価なものが少なくありません。CEQ231FLは、数万円で手に入るにもかかわらず、プロの現場で役立つ実践的な機能を備えています。初めてのグライコとして導入し、その操作性や効果を学ぶには最適な一台と言えるでしょう。
「ハウリング対策」に特化した、分かりやすいEQを探している人
何よりもハウリングに悩まされている方にとって、CEQ231FLの「FBQ System(LEDによるハウリング周波数表示機能)」はまさに救世主です。耳だけでハウリングの原因を探すのは至難の業ですが、LEDが光ることで瞬時に問題の周波数を特定できます。これにより、初心者でも自信を持ってハウリング対策に取り組めるようになります。
小規模な「ライブハウス」「イベント」「発表会」などでPAを担当する人
大規模なコンサートホールのような厳密な音質が求められる場では、より高価なグライコが必要になることもあります。しかし、一般的なライブハウス、学校の発表会、地域のイベントなど、多くの中小規模PA現場であれば、CEQ231FLは十分すぎるほどの性能を発揮します。シンプルかつ効果的に音質を調整し、安定したPAを実現できます。
自宅や簡易的なPA環境で「音響調整の練習」をしたい人
実際の機材に触れて練習することは、PAスキル向上のために非常に重要です。自宅でミキサーやスピーカーと組み合わせてCEQ231FLを操作することで、ハウリング対策や音質調整の感覚を養うことができます。比較的コンパクトなので、持ち運びや設置も容易です。
「グラフィックイコライザー おすすめ」と検索しているが、何を選べばいいか分からない人
市場には多種多様なグライコがありますが、その中でClassic Pro CEQ231FLは、価格、機能、使いやすさのバランスが非常に優れています。「どれを選べばいいか分からない」「失敗したくない」という方にとって、このCEQ231FLは後悔のない選択肢となるでしょう。
Classic Pro CEQ231FLに関するQ&A
ここまでClassic Pro CEQ231FLの機能や使い方、現場での評価について詳しく解説してきました。ここでは、このグライコに関してよくある疑問や、購入を検討する際に気になるポイントをQ&A形式でまとめました。
Q1: Classic Pro CEQ231FLと他の安価なグライコ(例: BEHRINGER FBQ6200HD)との違いは?
A1: Classic Pro CEQ231FLもBEHRINGER FBQ6200HDも、どちらも手頃な価格帯で手に入る2チャンネル31バンドのグラフィックイコライザーです。基本的な機能や用途は非常に似ています。
私が両者を実際に使ってみた経験から言うと、大きな違いは以下の点です。
- LED(FBQ System)の視認性: CEQ231FLはハウリング周波数をLEDで示してくれる機能が非常に分かりやすく、特に初心者の方には大きなメリットとなります。FBQ6200HDも同様の機能を持っていますが、CEQ231FLの方がより直感的に感じました。
- 音質の傾向: 音質の傾向は好みにもよりますが、個人的にはCEQ231FLの方が若干クリアで癖が少ない印象を受けました。ただし、どちらもこの価格帯としては非常に優秀で、ライブPAで実用上問題になるほどの差はありません。
- 耐久性・ファンノイズ: 私のCEQ231FLは約10年間ノントラブルでしたが、個体差や使用環境によってはFBQ6200HDの方がファンノイズが気になるという声も聞きます。
どちらを選ぶかは最終的にあなたの好みと、LED機能の直感性をどこまで重視するかで決まるでしょう。
Q2: このグライコでどこまで音質を追い込めますか?
A2: Classic Pro CEQ231FLは、価格を考えると驚くほど質の高い音質補正が可能です。ハウリング対策はもちろん、会場の残響補正や、特定の楽器の音をよりクリアにするといった用途で十分に活躍します。
しかし、「最高峰」を目指すプロのレコーディングスタジオや、非常にシビアな聴衆を相手にする大規模コンサートなどでは、より高性能で高価なグライコのほうがいいのは事実です。さらに精密なQ(帯域幅)調整が可能であったり、音の透明感が一段上だったりします。
とはいえ、一般的なライブハウスやイベントPAであれば、CEQ231FLで十分な音質を作り込むことができます。大切なのは機材の値段ではなく、その機材の特性を理解し、「引き算の音作り」など適切な知識と技術で使いこなすことです。
Q3: デジタルミキサーのEQ機能との使い分けは?
A3: 最近のデジタルミキサーには、非常に高性能なEQ(イコライザー)機能が内蔵されており、中にはグラフィックEQやリアルタイムアナライザー(RTA)機能を備えているものも多いです。
CEQ231FLのようなアナロググライコとデジタルミキサーのEQは、以下のように使い分けることができます。
- アナロググライコ(CEQ231FL)の役割:
- ハウリング対策の専用機: 特にCEQ231FLのLED機能は、ハウリング周波数を瞬時に特定するのに非常に役立ちます。手動での素早い対応が求められるライブ現場では、デジタルミキサーの画面を操作するよりも物理フェーダーが直感的で迅速に対応できる場合があります。
- 全体の音場補正: ミキサーのメインアウトに接続し、会場全体の音響特性を恒久的に補正する「システムEQ」として使用することが一般的です。
- デジタルミキサーのEQの役割:
- 各チャンネルの音作り: 個々のマイクや楽器の音を、細かく調整するのに使います。
- 柔軟な設定: グラフィックEQだけでなく、パラメトリックEQなど多様なEQタイプを使い分けたり、設定をシーンとして保存・呼び出ししたりできるのが強みです。
多くの現場では、両方を併用することが一般的です。CEQ231FLで大まかなハウリング対策や全体の音場補正を行い、デジタルミキサーのEQで個々のチャンネルの音色を細かく作り込む、といった形です。
まとめ:Classic Pro CEQ231FLでPAの課題を解決し、自信をつけよう
ここまで、Classic Pro CEQ231FLというグラフィックイコライザーについて、その基本から私の実践的な使用経験まで、様々な角度から徹底的に解説してきました。
このCEQ231FLは、確かに「名機」と呼ばれるような数十万円もする高価な機材ではありません。しかし、私の10年以上のPAキャリアにおいて、この一台がどれほど多くの現場で私を助け、PA初心者でも自信を与えてくれたかは計り知れません。
特に、ハウリング発生時にLEDが光って原因周波数を教えてくれる「FBQ System」は、PA初心者にとってこれほど心強い機能はないと断言できます。耳で周波数を特定する練習はもちろん大切ですが、焦りやすい本番中に頼れる「視覚的なヒント」は、冷静な判断と迅速な対応を可能にしてくれます。
そして、その価格からは想像できないほどの音質の素直さと現場での高い安定性は、PA機材選びにおいて非常に重要なポイントです。
『安価な機材だからダメ』という先入観は、PAの世界ではもったいない誤解です。Classic Pro CEQ231FLは、まさに「十分に通用する」ことを証明してくれる一台でした。このグライコを使いこなすことで、あなたはハウリングというPA最大の課題を克服し、よりクリアで聴きやすい音を自信を持って提供できるようになるでしょう。
PAは経験を積むほどに面白くなる奥深い世界です。このCEQ231FLが、あなたのPAスキル向上の一助となることを心から願っています。
CEQ231FLの後継機種は?おすすめのグライコとハウリング対策機材
Classic Pro CEQ231FLは、その価格以上の性能で多くのPAエンジニアに愛されてきましたが、残念ながら現在サウンドハウスでの販売は終了しています。しかし、「安価で実用的なグライコが欲しい」「ハウリング対策に困っている」というPA初心者のニーズは、今も変わらず存在します。
そこで、CEQ231FLの「使いやすさ」や「ハウリング対策能力」といった良い部分を受け継ぎ、現在手に入る代替機種や、さらに強力なハウリング対策機材をご紹介します。あなたの次のPA機材選びの参考にしてください。
Classic Pro CEQ231FLの事実上の「後継機」と呼べるグライコはこれ!
CEQ231FLと同じく2ch 31バンドのグラフィックイコライザーです。FBQシステム(ハウリング周波数表示LED)を搭載しているなど、CEQ231FLの便利な機能を継承している可能性が高いです。CEQ231FLの直接的な後継機と見て間違いないでしょう。
私がCEQ231FLで感じた「価格以上の実用性」を、このCEQ231でも期待できます。特にLEDによるハウリング周波数表示は、PA初心者にとって大きな助けとなるはずです。
PA初心者におすすめ!コストパフォーマンスに優れた現行グライコ(定番モデル)
Classic Pro以外にも、PA初心者におすすめできるコストパフォーマンスに優れたグライコはいくつか存在します。特に以下のモデルは、多くの現場で導入されており、信頼性も高いです。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / FBQ6200HD ULTRAGRAPH PRO
Classic Pro CEQ231FLと同様に、2ch 31バンドEQで、FBQシステム(ハウリング周波数表示LED)を搭載しています。非常に多機能でありながら、こちらも手頃な価格帯で入手可能です。
ベリンガーは音響機器で非常に実績のあるメーカーです。CEQ231FLの機能と非常に似ており、操作にも戸惑うことなく移行できるでしょう。
dbx ( ディービーエックス ) / 231s
PA現場で「定番」中の定番として知られるdbxの2チャンネル31バンドグラフィックイコライザーです。非常にクリアな音質と高い信頼性が特長で、多くのプロフェッショナルが愛用しています。
FBQシステムのようなLED表示機能はありませんが、その分、音質と安定性に定評があります。基本的なグライコ操作を学び、長く使える一台を求めるPA初心者には最適な選択肢となるでしょう。シンプルな操作で、音の調整に集中したい方におすすめです。
「自動ハウリング対策」ならアンチフィードバックサプレッサーも検討を!
「グライコでの手動調整はまだ自信がない」「もっと手軽にハウリング対策をしたい」という方には、特定の周波数を自動で検知・抑制してくれるアンチフィードバックサプレッサーの導入も強くおすすめします。
dbx ( ディービーエックス ) / AFS224
ハウリング周波数を瞬時に自動で検知し、最適なフィルターをかけて抑制してくれる専用機です。人間の耳や手作業での調整では追いつかないような突発的なハウリングにも対応できるのが強みです。
私の現場でも「これがないと不安」と感じるほど信頼している機材です。PA初心者でも導入するだけでハウリングのリスクを大幅に減らすことができ、PAオペレーションの安定に大きく貢献します。
*AFS224は販売終了となっており、後継機種のAFS2が現行品です。
詳しいレビューはこちら:『AFS224 レビュー:自動でおまかせ!ハウリング対策にフィードバックサプレッサー』
【関連情報】あなたのPAスキルをさらに高めるために
Classic Pro CEQ231FLのレビュー記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。この機材があなたのPAスキルアップに役立つことを願っています。
さらにPAの知識を深め、より自信を持って現場に臨むために、当ブログの以下の記事もぜひご活用ください。
PAの基礎を網羅したメインガイド
PA全体の知識をゼロから学びたい方、機材の役割や接続方法の基礎を固めたい方におすすめです。
ハウリング対策を徹底解説した専門ガイド
CEQ231FLだけでなく、あらゆる現場で応用できるハウリング対策の考え方と具体的な方法を詳しく解説しています。